【11月15日 AFP】中国の前副首相から性的関係を強要されたとソーシャルメディアで告発し、10日にわたって消息を絶っている彭帥(Peng Shuai、35)について、女子テニス協会(WTA)が14日、ついに沈黙を破り、告発内容について「検閲のない、徹底的かつ公正、透明な調査」を求めると発表した。

 四大大会(グランドスラム)のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)と全仏オープン(French Open)の女子ダブルスで優勝経験を持つ彭は、張高麗(Zhang Gaoli)前副首相からレイプされたと中国版ツイッター(Twitter)の微博(ウェイボー、Weibo)で告発した後、中国のインターネットとSNSから存在を消された。セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」が中国共産党の上層部に及んだのは初となる。

 これについて、WTAのスティーブ・サイモン(Steve Simon)最高経営責任者(CEO)は14日に発表された声明文の中で、「女子プロテニス選手の彭帥に関して、このところ中国で起こっている出来事に深い懸念を抱いている」と話し、「適切な対応を期待する。つまり徹底的かつ公正、透明な調査を行うべきだ」と続けた。

 彭の告発にすぐ対応しなかったWTAには、選手やファンから大きな批判が集まり、グランドスラム通算18勝を挙げているクリス・エバート(Chris Evert)氏は、「#WhereIsPengShuai(彭帥はどこに)」のハッシュタグをつけたツイートで「もちろん、こうした告発はとても気がかり。彼女が14歳の頃から知っているし、みんな心配している。これは深刻な事態。彼女はどこにいて、無事なのか。どんな情報でも歓迎する」と訴えた。

 彭は現在70代の張氏から性行為を「強制」され、数年間にわたり断続的に関係を持っていたと告発したとされる。このメッセージは4日、投稿直後に削除されたとみられ、AFPは投稿のスクリーンショットの真贋(しんがん)や、告発内容の真偽を確認できていない。

 告発メッセージは彭の認証済みアカウントに投稿されたもので、微博のデータからは10万回以上閲覧されたことが分かるが、正確な内容は不明だ。彭はその後は投稿しておらず、張氏も公に反応を示していない。張氏は共産党最高指導部の政治局常務委員を務めた人物で、李克強(Li Keqiang)首相と近しいとされる。(c)AFP