【11月13日 AFP】チュニジアの裁判所は12日、高校生だった女性にセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)行為をしたとして、国会議員に禁錮1年の有罪判決を言い渡した。女性の弁護士が明らかにした。この事件は、同国でセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」が広がるきっかけとなった。

 無所属のズヒル・マフルーフ(Zouhair Makhlouf)議員は2019年10月、沿岸部の都市ナブール(Nabeul)に止めた車の中で自慰行為をしているように見える写真を撮られた。マフルーフ議員は、当時所属していた政党「チュニジアの心(Qalb Tounes)」のTシャツを着て、ズボンを下ろしてカメラを見ていた。

 写真を撮ってソーシャルメディアで公開した女性は、学校まで後をつけられたとして、マフルーフ議員を性的嫌がらせと強制わいせつで告訴した。

 マフルーフ議員は公判中、糖尿病のために車内で急いでボトルに排尿する必要があったと一貫して主張していた。

 マフルーフ議員の写真がソーシャルメディアで拡散されたことをきっかけに、アラブ語チュニジア方言で「MeToo」を意味するハッシュタグ「#EnaZeda」を使ってセクハラを告発する女性が相次いだ。

 女性の権利擁護団体アスワット・ニッサ(Aswat Nissa)は「不処罰の文化に終止符を打つものであり、チュニジアのフェミニスト運動と、ジェンダーに基づく暴力の被害者全員にとっての勝利を意味する」として判決を歓迎した。

 チュニジアはアラブ諸国の中でも女性の権利に関しては先駆的とされており、2017年7月には公共の場でのセクハラ行為を1年以下の禁錮刑が科される犯罪とした。(c)AFP