【11月12日 AFP】天の川銀河(銀河系、Milky Way)の外にある非常に若い星団内で、ブラックホールを初めて直接検出したとする研究結果を、英国などの天文学者チームが発表した。今回の検出に用いられた手法は、特定が困難なこの種の天体の新たな発見をもたらすと期待されるという。

 11日に発表された研究論文によると、英リバプール・ジョン・ムーアズ大学(Liverpool John Moores University)などの研究チームは、地球から約16万光年の距離にある天の川銀河の隣の銀河「大マゼラン雲(Large Magellanic Cloud)」内にある星団「NGC 1850」の中で、太陽の11倍の質量を持つ小型ブラックホールと、それを周回する太陽質量の5倍の恒星を発見した。

 ブラックホールが及ぼす強大な重力は、恒星の形状をゆがませるだけでなく、恒星の軌道にも影響を与える。研究チームはこのわずかな軌道の影響を調べることで、ブラックホールの存在を推測できた。

 研究チームは南米チリにある欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)に搭載されたパノラマ式インテグラルフィールド分光器MUSE(Multi Unit Spectroscopic Explorer)を用いて今回の発見を成し遂げた。(c)AFP