■恩返しを目指して

 北京五輪では、昨シーズンのW杯総合女王ニカ・クリジュナル(Nika Kriznar、スロベニア)や、マリタ・クラマー(Marita Kramer、オーストリア)が金メダルを争うライバルになるとみられる。それでも高梨は、「誰が出てきてもおかしくないというのは、この競技の特性」と話しつつ、今はライバルよりも自分のことに集中している。

「自分がどれだけやってきたものに自信を持っていけるかによって、そこは変わってくると思うので、私の場合は今4年間かけて、自分のスキージャンプのスタイルを変えてきたんですけど、その自信をこれからもっとつけていけるようなトレーニング、そしてW杯の試合をこなしてしていきたいと思います」

 今回のジャンプ日本代表チームには、経験豊富な一人のベテランがいない可能性がある。平昌大会で史上初となる8回目の五輪出場を果たした葛西紀明(Noriaki Kasai)は、49歳となる今回は代表入りが難しくなっている。それでも年齢など気にしない葛西は、札幌が招致に成功した場合、故郷での開催となる2030年まで現役を続けたいと話している。

 葛西を「伝説的な存在」と呼ぶ高梨も、葛西が現役続行を真剣に考えていることを確信し、「札幌五輪は決まるかどうかわかりませんけど、葛西選手はできる限界まで続けるだろうなと思っています」とコメントしている。

「葛西選手が持っている体のポテンシャルも、ジャンプ技術も素晴らしいと思う。憧れている選手がいっぱいいると思います」

 現在の高梨は、来年2月4日から20日の北京冬季五輪に向けた最後の準備を始め、このところは日本国内の大会で3連勝を飾っている。

 高梨は「今まで応援してくれた人たちへの感謝の気持ちを伝えるのに、結果でそれを伝えるのが一番分かりやすい。自分がやってきたことへのご褒美、自分にとってもそれが恩返しとなります」と話した。(c)AFP/Andrew MCKIRDY