【11月10日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)は9日、来年2月に行われる北京冬季五輪のリュージュの会場で、練習中にポーランド選手が大けがをする事故が起こったことを受け、大会組織委員会(BOCOG)が調査を行っていると発表した。

 北京市延慶(Yanqing)区にある国家スライディングセンター(Yanqing National Sliding Center)で負傷したのは、ポーランドのマテウシュ・ソホウィチュ(Mateusz Sochowicz)で、2018年平昌冬季五輪のリュージュ男子1人乗りで27位に入っているソホウィチュは、膝の手術を要するほどの大けがをし、命を落としていた可能性もあったという。

 ソホウィチュは、本番で使用されるコースに慣れるため行っていた練習中、長めの男子のコースと女子のスタート地点の合流場所でバリアーに衝突。左膝をけがし、右脚も深く切った。

 ソホウィチュはポーランドのニュースサイト「Onet.pl」に対し、「トラックの途中でいきなりバリアーが目に入った。そりから投げ出されたから、滑降のスキーヤーみたいに体を丸めた」と話し、「反応できていなかったら、悲劇的な結果に終わっていたかもしれない」と続けた。

「衝撃のあと、脚を見たら骨が飛び出しているのが見えた。ショックだった」

 さらにソホウィチュは、その場にいたスタッフが「役立たず」で、緊急時の対応手順を心得ていない様子だったと明かし、「トラックのチームはまったくの役立たずに見えた。彼らはどうすべきか分かっていなかった」と話している。

 IOC調整委員会のフアン・アントニオ・サマランチ・ジュニア(Juan Antonio Samaranch Jr.)委員長は、五輪ムーブメントはソホウィチュに対して「共感と支援」を表明すると発表し、「この件から得られる教訓がおそらくあるはずだから、それを生かしたいし、そのための時間は十分にある」とコメントした。

 また調整委員長は、使用した他の選手からコースは「安全性と質の両面で、飛び抜けて高い評価を得ていた」と話している。

 リュージュでは、2010年バンクーバー冬季五輪でジョージアのノダル・クマリタシビリ(Nodar Kumaritashvili)選手が公式練習中に死亡する事故が起こっており、今回の件はその恐ろしい記憶を呼び覚ますものになった。(c)AFP