【11月10日 AFP】国連環境計画(UNEP)は9日、英グラスゴーで開催中の国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で各国が新たに表明した炭素排出量削減の目標について、今世紀中の気温上昇に与える影響はごくわずかだとの見解を示した。

 UNEPは先月発表した今年の「排出ギャップ報告書(Emissions Gap Report)」で、各国が現在設定している「国が決定する貢献(NDC)」と呼ばれる脱炭素計画を進めた場合、世界の気温は今世紀中に2.7度上昇すると試算。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」で目指す気温上昇を産業革命前から1.5度に抑える目標の達成には、各国が7倍以上の速さで排出量を削減する必要があると警告していた。

 COP26では、インドが2070年までに炭素排出量の実質ゼロを目指すと表明するなど、各国が新たな目標を発表。だがUNEPは9日、各国の宣言を踏まえた上でも、気候への影響は既存の見通しと「極めて似通ったもの」になると予測した。

 UNEPによると、現時点での計画に沿うと2030年までに5億トンの炭素排出を削減できるが、それでも世界の気温は2100年までに2.7度上昇する見通し。森林再生などを通じた排出量の相殺や脱炭素化への取り組みを加味すると、上昇幅は2.1度まで抑えられる可能性がある。これは先月の見通しよりも低いものの、上昇幅を2度より「十分低く」保つというパリ協定の目標には届かない。(c)AFP