【11月8日 AFP】米テキサス州ヒューストン(Houston)で開催された音楽イベントで観客がステージ前に殺到し、8人が死亡、数十人が負傷した事故で、負傷した男性が、当時出演中だったラップ歌手のトラヴィス・スコット(Travis Scott)さんとドレイク(Drake)さんを相手取って訴訟を起こしたことが分かった。原告側は「大混乱を扇動した」と主張している。

 テキサス州のトーマス・J・ヘンリー法律事務所(Thomas J. Henry Law)が7日、メディア報道を事実と認め、「トラヴィス・スコット・アストロワールド・フェスティバル(Travis Scott Astroworld Festival)の惨事をめぐる初の訴訟の一つ」を起こしたことをツイッター(Twitter)で明らかにした。

 原告のクリスチャン・パレデス(Kristian Paredes)さん(23)はテキサス州在住で、11月5日夜のイベントで「重傷を負った」という。パレデスさんは、イベント主催者のライブネーション・エンターテインメント(Live Nation Entertainment)とNRGパーク(NRG Park)も訴えている。

 事故当時、会場のNRGパークには約5万人の観客が集まっており、スコットさんのパフォーマンスが始まるとステージ前に押し寄せ、大混乱になった。

 ハリス郡(Harris County)地方裁判所に提出された訴状によると、一般入場者向けエリアの前列にいたパレデスさんは、スコットさんがステージに上がってすぐに後ろから押された。「たくさんの人が、ライブネーション・エンターテインメントに雇われた警備員に助けを求めたが、無視された」としている。

 訴状は、スコットさんは「これまでにもイベントで大混乱を扇動したことがある」とし、主催者や会場は「(スコットさんの)過去の振る舞いを知っていたはずであり、さもなければ知っておくべきだった」と主張している。

 また、訴状はスコットさんとステージで共演したカナダ人ラップ歌手のドレイクさんも、観客をあおってステージに押し寄せる原因をつくったと主張。「観客が制御不能になった」後も「大混乱が続く中」でパフォーマンスを続けたとドレイクさんを非難している。(c)AFP