【11月6日 AFP】ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相は、最大の貿易相手国である中国との経済関係を維持するために同国の人権問題への批判を躊躇(ちゅうちょ)することはないとインタビューで明言した。

 アーダーン政権は中国による人権侵害への批判に及び腰で、ニュージーランドは米国主導の5か国の情報機関による多国間協定「ファイブアイズ(Five Eyes)」の弱点になっていると批判されている。

 しかしアーダーン氏は、中国との経済関係に配慮して懸念を表明できずにいるとの批判を一蹴した。

 アーダーン氏は、AFPとニュージーランド・ヘラルド(New Zealand Herald)、NBCニュース(NBC News)、カバーリング・クライメート・ナウ(Covering Climate Now)の共同インタビューに応じ、中豪間の「緊張の高まり」に言及した。オーストラリアは、ウイグル人の扱いや香港での民主派抑圧などの問題を率直に批判したことで、中国に経済制裁を科されている。

 ニュージーランドも同様の問題への懸念を表明してきたが、内容はオーストラリアと比べて控えめで、経済制裁は科されていない。

 ニュージーランド議会は5月、アーダーン氏率いる与党・労働党がジェノサイド(大量虐殺)への言及を削除するよう求めた後、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での人権侵害に「重大な懸念」を表明する動議を全会一致で可決した。

 しかしアーダーン氏は、中国との間にさまざまな事柄について問題提起できる「成熟した関係」を築いているとした上で「貿易関係にとらわれずに問題提起できる状態を維持し、問題提起し続けることが非常に重要だ」と述べた。

 また、中国は同盟国か敵対国かの質問に対しては「どの国との関係であろうと、そのような露骨な言葉で決めつけたくはない」と答えた。

 アーダーン氏は今年、中国との人権に対する見解の相違を解決するのが一段と困難になっていると認める一方、今後も中国政府に懸念事項について指摘していくと述べていた。(c)AFP