【11月5日 AFP】世界保健機関(WHO)は4日、欧州で新型コロナウイルス感染者数が増加していることは「重大な懸念」であり、来年2月までにさらに50万人が死亡する恐れがあると警告した。ドイツでは同日、1日の新規感染者が過去最多を記録した。

 WHOの欧州地域事務局が管轄する欧州・中央アジア53か国・地域では、累計感染者数が7800万人に上っている。ハンス・クルーゲ(Hans Kluge)事務局長は記者会見で「われわれは再び流行の中心地にいる」と述べ、管轄域内における現在の感染ペースは「重大な懸念」に値すると述べた。

 クルーゲ氏は、現在の傾向が続けば来年2月までにさらに50万人が死亡するという「信頼できる予測」があると警告。ワクチン普及の滞りや各種対策の緩和が原因で感染者数が全年齢層で増加しており、ワクチン接種率が低い国では入院率が高いと指摘した。

 検査や接触者追跡、対人距離の確保、マスクの着用といった対策が、引き続き新型ウイルスとの闘いにおける「武器」になると述べるとともに、「感染者の急増に対処するのではなく、まず感染そのものを予防する方に、戦略を転換しなければならない」との見方を示した。

 欧州では、新規感染者数が約6週間連続、死者は約7週間連続で増加。AFPがまとめた各国の公式データによると、1日当たりの感染者は約25万人、死者は約3600人となっている。

 特に懸念が高まっているのは欧州最大の人口を抱えるドイツで、国立ロベルト・コッホ研究所(Robert Koch Institute)によると、4日には過去24時間の新規感染者が過去最多の約3万4000人に上った。(c)AFP