【11月4日 AFP】米俳優アレック・ボールドウィン(Alec Baldwin)さんが主演映画の撮影中に小道具の銃を誤射し、撮影監督が死亡した事故で、武器担当責任者の女性スタッフの代理人弁護団は、撮影現場に不満のあるスタッフによる「妨害行為」が悲劇につながった可能性があるとの見方を示した。

 事故は先月、ニューメキシコ州での西部劇『ラスト(Rust、原題)』の撮影中に起き、撮影監督のハリーナ・ハッチンス(Halyna Hutchins)さんが亡くなった。ボールドウィンさんが誤射したのは、安全だと言われて渡された銃だった。

 撮影現場の武器担当者ハンナ・グティエレスリード(Hannah Gutierrez-Reed)さんの弁護団は、米NBCネットワークの番組「トゥデー(Today)」に出演し、グティエレスリードさんが問題の銃に装填(そうてん)したのは、火薬の入っていないダミー弾の箱から取り出した銃弾だったと説明。実弾がどこから紛れ込んだのかは「まったく分からない」と述べた。

 弁護団のジェイソン・ボウルズ(Jason Bowles)氏は、「何者かがその箱の中に実弾を入れたとみている。だとすれば、実弾をダミー弾の箱に入れた人物には撮影を妨害する意図があったということになる」と語った。

 複数の報道によれば、『ラスト』の撮影現場では事件前日、小道具の銃や爆発物をめぐる安全上の深刻な懸念などを理由にスタッフが辞めていた。

 ボウルズ氏は、実弾を紛れ込ませた「何者か」が撮影を妨害しようとした動機について問われ、長時間労働や宿泊環境などに「不満を抱いた」スタッフが事故の数時間前に現場を抜けていた点を指摘。「事故当日は、だいたい午前11時から午後1時まで、銃器のそばに誰もいないことがたびたびあった。つまり、(実弾を)混入する機会があったということだ」と続けた。(c)AFP