【11月3日 AFP】英グラスゴーで開催中の国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席した各国の首脳は2日、2030年までに森林破壊をなくすとした共同宣言を発表した。だが環境保護団体は、「地球の肺」と呼ばれる森林を守るためにはより緊急の行動が必要だとして、懐疑的な見方を示している。

 COP26議長国の英国によると、この取り組みには官民合わせて200億ドル(約2兆2800億円)近くの資金が投じられる予定。共同宣言には、国内の森林破壊を加速させていると批判されているブラジルやロシアをはじめ、米国、中国、オーストラリア、フランスなど100か国以上の首脳が署名。アマゾン(Amazon)やコンゴ盆地(Congo Basin)の熱帯雨林やカナダ北部の針葉樹林など、世界の森林の85%以上を占める国々が賛同したことになる。

 ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は、気温上昇を産業革命前から1.5度以内に抑えることを目指す地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の目標を実現する上で、森林破壊に関する今回の合意は極めて重要だとしている。

 同首相は今回の誓約を「前例のない」ものと評したが、同様の宣言は2014年に米ニューヨークで開催された国連の気候サミットでも出されていた。当時の宣言では、200以上の国や企業、先住民グループが2020年までに森林破壊の進行速度を半減させ、2030年までにゼロとすることを誓約。だが、今年の進捗(しんちょく)評価では、宣言から7年がたつ中、目標を達成する見通しである国がほぼないことが示された。

 国際環境団体グリーンピース(Greenpeace)は、今回の共同宣言について、「今後10年間の森林破壊」を事実上容認するものだと批判している。(c)AFP