【10月30日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)政権の今後を占う試金石とみられているバージニア州知事選で、性自認が流動的である「ジェンダーフルイド」とされる高校生による校内女子トイレでの性的暴行事件が争点の一つとなっている。

 バージニア州の少年裁判所は今週、ラウドン(Loudoun)郡の15歳の高校生に対し、今年5月に校内の女子トイレで同級生に性的暴行をしたとして有罪判決を言い渡した。

 被害者の父親は加害者がジェンダーフルイドだと地元メディアに語っているが、AFPは独自に検証できていない。米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、この問題は25日の公判では取り上げられなかった。

 事件は「加害者が犯行当日にスカートをはいていた」という被害者の父親の主張を含め、全米で注目を集めている。

 加害者は今月、公判中に転校先でも同級生を暴行したと伝えられており、転校させた教育委員会は激しい非難を浴びている。

 ラウドン郡は今年8月、トランスジェンダーの生徒が学校で自認する性別のトイレを使用できるようにしたが、事件への反発からこの方針をめぐる議論が再燃した。

 共和党候補のグレン・ヤンキン(Glenn Youngkin)氏(54)は、教育委員会に対する保護者の怒りを自身の選挙戦に利用している。

 性別で分けられた空間を自身の性自認に合わせて使用できるようにするべきかについては、共和党と民主党は正反対の立場を取っている。

 共和党の保守派は、トランスジェンダーの人々がトイレや更衣室を使用する際は生まれつきの身体的性別に従うべきであり、「男性」が女性用トイレに入るのを認めるのは危険だと主張している。

 民主党は、そうした考えは根拠のない不安をあおり、罪のない人々が不当に攻撃されかねないと非難している。

 ヤンキン氏は、先日の演説ではトランスジェンダーの人々に関する政策に言及しなかったものの、「リベラル急進派」が「私たちの学校制度に教育委員会に見せ掛けた政治工作員」を送り込んでいるとこき下ろし、トランスジェンダーの権利運動を急進的とみなす保守派にアピールした。(c)AFP/Sebastien BLANC