【10月30日 AFP】シンガポール当局は29日、同国出身のサッカー選手でイングランド・プレミアリーグのウォルバーハンプトン・ワンダラーズ(Wolverhampton Wanderers)と契約したDFハリー・バートウィッスル(Harry Birtwistle)が、徴兵登録を怠った法律違反で禁錮刑になる可能性があると明らかにした。

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 帰国して有罪となれば、最大禁錮3年と最高1万シンガポール・ドル(約84万円)の罰金を科される。

 ウルブス(Wolves、ウォルバーハンプトンの愛称)によると、現在17歳のバートウィッスルはU-23チームでの1年目に良いスタートを切り、今週に入ってトップチームとプロ契約を果たした。

 地元メディアの報道では、同選手はシンガポール出身の母親と英国人の父親を持ち、シンガポール育ちであるものの、ウルブスの練習に参加するために数年前に英国へ移住したという。

 しかし、男性のシンガポール国民と永住者は18歳になると、軍、警察、緊急当局のいずれかにおいて、2年間の国民役務に就くことが求められ、義務が免除されることは珍しい。

 シンガポール国防省は声明文で、両親がバートウィッスルの市民権を放棄する手続きを行ったものの、申請は却下されたと公表し、「(国民役務の)義務を逃れる手段として、市民権の放棄を利用してはならない」と述べた。

 また、同選手がその後も徴兵登録を行っていないことから、兵役法違反を犯したことになると説明した。

 シンガポール出身の選手が同様のケースに直面するのは近年これが2度目で、同国の徴兵制度が厳しすぎるのではないかという議論に火がつきそうだ。過去には2018年に当時プレミアのフラム(Fulham)と契約したベン・デイビス(Ben Davis)が、徴兵延期を申請したが却下された。

 2016年のリオデジャネイロ五輪で、シンガポール人選手初の五輪金メダルに輝いた競泳男子のジョセフ・スクーリング(Joseph Schooling、26)は兵役を免除された数少ない一人だった。だが、不本意な結果となった東京五輪後に徴兵猶予は終了し、これから国民役務に就く予定となっている。(c)AFP