【10月30日 AFP】欧州歴訪を開始したジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は29日、バチカン市国でローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis)と会談した。バイデン氏は会談後、自身が「善良なカトリック教徒」であるとの言葉を教皇から受けたと明かした。

 バイデン氏は今回の訪問で米国の国際社会での信用回復を目指し、週末に伊ローマで開催される20か国・地域(G20)首脳会議と、英グラスゴーで開幕する国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に臨む。

 カトリック教徒としては史上2人目の米大統領となったバイデン氏は、前任者2人よりも長い1時間以上にわたり教皇と会談した。会談は非公開で行われたが、教皇庁が公開した映像では、両者が笑顔で和やかに対話。バイデン氏は時折感極まった様子を見せた。

 バイデン氏は教皇に「あなたは私がこれまでに会った中で最も重要な平和の戦士だ」と伝えると、「息子がこれをあなたに渡してほしいと願っているはずだ」として、2015年にがんで亡くなった長男のボー・バイデン(Beau Biden)氏が所属していた部隊のシンボルが刻印された大統領硬貨を手渡した。

 バイデン氏は会談後、記者団に対し、論争の的となっている人工妊娠中絶の問題には触れなかったと説明。「私が善良なカトリック教徒であることに教皇が満足しているということについて話した」と述べた。バイデン氏は中絶の権利を支持しているが、教皇は中絶を「殺人」と呼び非難している。

 自身の強い信仰心について公言してきたバイデン氏は、フランシスコ教皇とは過去に3回面会しているが、大統領に就任後では初の対面となった。(c)AFP