【10月21日 AFP】バチカンのパウロ6世ホール(Paul VI Audience Hall)で20日に行われた毎週恒例の一般謁見(えっけん)で、少年が突然ステージに上がってローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis、84)にあいさつし、教皇の白い帽子をもらって帰る出来事があった。

 黒地に黄色のしま模様が入ったトレーニングウエアを着た少年は、ほほ笑む教皇の手を握り、バチカンの高官から教皇の隣のいすに座るよう勧められた。

 少年は、一生懸命拍手をしていたが間もなく立ち上がり、再び教皇の手を握ると、教皇が着用しているズケットと呼ばれる帽子を触り、これが欲しいと高官に訴えた。その後の教皇の話によれば、少年には学習障害があるという。

 教皇は講話で、少年がまるで自宅にいるかのようにくつろぎ、自由に近づいて来て動き回っているのを見ているうちに、イエスが子どもの自発性と自由について語ったことを思い出したとして、「主は、子どものようにならなければ天国に入ることはできないと説いている」と述べた。

「勇気を持って主に近づきましょう。この子が私たちに教えてくれたことに感謝します」と聴衆に語り掛け、「この少年の制約と成長に、主が救いの手を差し伸べてくださいますように。少年は心のままに行動した。子どもは、心と命を無意識に結ぶ媒介を持たない。ただ心のままに行動する」と述べた。

 教皇に手を振られてステージを降りた少年は、新品のズケットを誇らしげにかぶっていた。(c)AFP