【10月29日 AFP】台湾・高雄(Kaohsiung)市のビルで発生し、46人が死亡した大規模火災について、当局は29日、入居者の女性(51)による香の火の不始末が原因だったと発表した。

 過去数十年で最多の死者を出したこの火災は今月14日、13階建ての雑居ビルで発生した。

 黄という姓のみ公表されているこの住人は、先に過失致死と公衆の安全を脅かした容疑で拘束されていた。

 高雄市が29日に公開した報告書には、「女性がビルを出る前に香の火を完全に始末せず、火が付いたまま放置したことが出火につながった」と記されている。正式に訴追するかどうかは、これから当局が判断するとしている。

 検察によると、女性は蚊よけのためにビャクダンの香をたいたことを認めた。しかし家を出る前の行動については供述が一貫しておらず、当初は香をごみ箱に捨てたと話していたものの、後に自分の行動を覚えていないと述べたという。

 今回の火災により、台湾の安全基準に対する懸念が再燃し、高齢化が急速に進む社会の中で、多くの高齢者が置かれている劣悪な生活環境が顕在化した。

 老朽化したビルは手入れが行き届いておらず、一部は使用されていなかった。死者の多くは低所得の高齢者で、障害者や認知症患者もいた。(c)AFP