【10月28日 AFP】英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後の英仏海峡における漁業権をめぐり、英仏政府が対立を深めている。フランスは27日、英国が領海内での仏漁船の操業を制限し続けるならば、対英貿易制裁を来週、発動すると発表した。

 仏政府のガブリエル・アタル(Gabriel Attal)報道官は記者会見で、来月2日から、英国からの輸入品に対する「通関時の検査と衛生検査の強化」、および「海産物の荷下ろし禁止」を含む制裁措置を科すと語った。また、クレマン・ボーヌ(Clement Beaune)欧州問題担当相は、検査強化の対象は拡大される可能性があると述べた。

 英仏の対立は、英国が防衛と外交を担う仏沖合の英領チャネル諸島(Channel Islands)周辺海域でのEU船籍の漁船への漁業権付与をめぐって激化している。フランスは、自治権を持つ同諸島のジャージー(Jersey)島とガーンジー(Guernsey)島が領海から仏漁船を締め出したことに、強く抗議している。

 英国は海産物の大半をEUに輸出しており、大陸への入り口としてフランスの港に大きく依存している。

 フランス側は、英国とチャネル諸島がこれまで仏漁船に付与した操業許可は約210件にとどまり、240件の申請が却下もしくは審査中のままになっていると指摘。アタル氏は、英国とEUが昨年12月に合意した漁業協定に基づき「フランスが有する漁業権の約50%」が失われていると主張した。

 英国側は、仏漁船に対する差別を否定し、「(EU漁船に付与されている)漁業権の98%を認可している」と反論している。ただ、この数字は領海だけでなく、英国の排他的経済水域(EEZ)での操業許可も含んでいる。

 6月には激怒した仏漁業関係者がジャージー島の主要港に船団を集結させて抗議デモを行い、英国が海軍哨戒艇2隻を周辺海域に派遣する騒ぎに発展していた。(c)AFP/Sofia BOUDERBALA and Adam PLOWRIGHT