【10月30日 AFPBB News】1週間のSDGsニュースを振り返る。

各国の気候対策、1.5度目標に遠く及ばず 国連報告書

 国連環境計画(UNEP)は26日に公表した報告書で、各国が打ち出した最新の気候変動対策では、世界の気温上昇を1.5度以内に抑えるために必要な炭素排出量削減のうちのわずかしか実現できないと指摘した。今月末の国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)開幕を前に、厳しい評価を下した形だ。

 COP26では、各国が経済の脱炭素化に向けた取り組みの強化を表明し、1.5度目標達成に向けた努力を改めて誓約することが期待されている。しかしUNEPは、約120か国が打ち出した最新の野心的計画をもってしても、世界の気温は2.7度上昇すると予測。1.5度目標の達成には2030年の予測排出量を55%削減する必要があるが、現状では削減率が7.5%にとどまる見通しとした。

 アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、今回の報告書により、世界が「今も気候の大惨事に向かっている」ことが示されたと指摘した。

仏リヨンにある工場から立ち上る煙(2021年10月15日撮影、資料写真)。(c)PHILIPPE DESMAZES / AFP

インドのジュート産業再興 「ずだ袋」からハイファッションへ

 フランスの高級ブランドから英王室の結婚式の引き出物まで、プラスチックに代わる素材として黄麻(ジュート)の人気が世界的に高まっている。

 袋・バッグ製品だけをとっても、ジュート製品の市場規模は2024年までに30億ドル(約3400億円)を超えると予想されている。

 インドはこうした消費者の変化に乗じて、停滞しているジュート産業を再興し、ジュートの用途を「ずだ袋」からファッションに広げようとしている。

 ジュートは栽培過程で二酸化炭素(CO2)をよく吸収する上、綿花よりも水など天然資源の使用量が少ないので環境活動家からも支持されている。

インド・ジャガットダルにあるジュート工場(2021年3月19日撮影)。(c)Dibyangshu SARKAR / AFP

紛争地域のチョコレート工場、国立公園が起業 コンゴ

 紛争の絶えないアフリカ中部コンゴ民主共和国。人々の生活は厳しいが、昨年設立されたチョコレート工場は起業家の勇気の象徴だ。

 同国東部では武装集団の脅威やインフラの不備が、ビジネス活動にとって常に大きな障害となっている。ビルンガ国立公園(Virunga National Park)に昨年設立されたチョコレート工場は、多くの問題を抱えながらも操業を維持している。

 目標は収穫の現場でカカオを加工し、農業に依存する国の経済に付加価値のある仕事を創出することだ。またそれによって、あまたある武装勢力に加わる以外の選択肢を地域に提供したいと願っている。

コンゴ民主共和国、ビルンガ国立公園にあるチョコレート工場で働く従業員(2020年11月18日撮影)。(c)ALEXIS HUGUET / AFP

気候変動に脅かされる自然の宝庫 米フロリダのエバーグレーズ国立公園

 米国最大の湿地帯であるフロリダ州のエバーグレーズ国立公園(Everglades National Park)。同地は2000種以上の動植物が生息・生育する亜熱帯性の自然の宝庫だが、最大の脅威は海からやってきている。

 エバーグレーズ地域は、フロリダ州南部のその他の地域と同様、土地がほぼ平たんだ。つまり、同地域の生態系は、気温上昇がもたらす深刻な影響である海面上昇に対して、きわめて脆弱(ぜいじゃく)だ。

 米議会は2000年、この地域を保護するプロジェクトを承認した。費用はフロリダ州と連邦政府の折半だ。同地域は1976年に、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が生物圏保存地域「エコパーク(Biosphere Reserves)」に指定している。

 ある程度の進展はあったが、当初計画の主要プロジェクト68件のうち、これまでに完遂されたプロジェクトはわずか1件だ。

 遅れの主要な原因は、連邦政府からの資金不足だ。財団によると、プロジェクトにはこれまで、40億~50億ドル(約4600億~5700億円)が投入されたが、7割はフロリダ州からの支出で、連邦政府からの拠出は3割にとどまっている。

米フロリダ州のエバーグレーズ国立公園の湿地帯を進むプロペラ船(2021年9月30日撮影)。(c)CHANDAN KHANNA / AFP

温室効果ガス、大気中濃度が過去最高に 国連

 国連(UN)の世界気象機関(WMO)は25日、温室効果ガスの大気中濃度が、昨年過去最高を更新したと発表した。今月末に気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開幕するのを前に、明確な警告となった。

 WMOの「温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)」によると、昨年1年間の濃度増加幅は、2011~2020年の年平均を上回った。増加傾向は、今年も続いているという。

 WMOは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による経済活動の停滞で、排出量は一時的に減少したものの、大気中の温室効果ガスの濃度や増加幅には、目立った影響はなかったとしている。

インドネシアの石炭火力発電所付近の様子(2021年9月21日撮影、資料写真)。(c)BAY ISMOYO / AFP

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