【10月27日 AFP】国連環境計画(UNEP)は26日に公表した報告書で、各国が打ち出した最新の気候変動対策では、世界の気温上昇を1.5度以内に抑えるために必要な炭素排出量削減のうちのわずかしか実現できないと指摘した。今月末の国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)開幕を前に、厳しい評価を下した形だ。

 英グラスゴーで開かれるCOP26は、気温上昇を産業革命前から1.5度以内に抑える目標を掲げた地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」を長期的に存続させる上で、重要な節目となるとみられている。

 UNEPは毎年、1.5度目標の達成に必要な排出量の水準と、各国の排出量見通しとの差を算出し、「排出ギャップ報告書(Emissions Gap Report)」として公表している。今年の報告書では、各国の排出量削減計画を「いまだ実現されていない不十分な約束」と断じた。

 COP26では、各国が経済の脱炭素化に向けた取り組みの強化を表明し、1.5度目標達成に向けた努力を改めて誓約することが期待されている。しかしUNEPは、約120か国が打ち出した最新の野心的計画をもってしても、世界の気温は2.7度上昇すると予測。1.5度目標の達成には2030年の予測排出量を55%削減する必要があるが、現状では削減率が7.5%にとどまる見通しとした。

 アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、今回の報告書により、世界が「今も気候の大惨事に向かっている」ことが示されたと指摘した。(c)AFP