【10月28日 AFP】米俳優アレック・ボールドウィン(Alec Baldwin)さんが主演映画の撮影中に小道具の銃を誤射し、撮影監督が死亡した事故で、ボールドウィンさんに銃を渡した助監督が、銃の中身を完全には確認していなかったと認める供述をしていることが27日、明らかになった。警察は、撮影現場に「気の緩み」があったとの見解を示している。

 事故は21日、西部劇映画『ラスト(Rust、原題)』の撮影現場で発生。ボールドウィンさんが銃をカメラに向けるシーンを練習中に銃が暴発し、撮影監督のハリーナ・ハッチンス(Halyna Hutchins)さんが死亡、ジョエル・ソウザ(Joel Souza)監督が負傷した。

 サンタフェ(Santa Fe)地方検事のメアリー・カーマックオルツイース(Mary Carmack-Altwies)氏は記者会見で、ボールドウィンさんが訴追される可能性について問われると、「現時点では誰も排除されていない」と述べ、明言を避けた。

 芸能情報サイト「ザ・ラップ(The Wrap)」は今週、撮影スタッフが事故の数時間前、小道具の銃と実弾を使い、缶を標的とした射撃練習に興じていたと報じていた。

 アダン・メンドサ(Adan Mendoza)保安官によると、警察はニューメキシコ州の撮影現場から弾薬500発を押収。弾薬の中には空包やダミー弾に加え、実弾もあった。保安官は、実弾は本来なら撮影現場に持ち込まれてはならないものであり、「この撮影現場では気の緩みがあった」との見解を示した。

 メンドサ保安官によれば、武器担当者のハンナ・グティエレスリード(Hannah Gutierrez-Reed)さんとデイブ・ホールズ(Dave Halls)助監督が事情聴取を受けた。ホールズ助監督はボールドウィンさんに銃を渡した人物で、その際に実弾入りではない銃を意味する「コールド・ガン」と叫んでいた。

 裁判所に27日に提出された宣誓供述書によると、ホールズ助監督は、グティエレスリードさんがシーンのリハーサル時にセットへ持ち込んだ銃を確認した際、ダミー弾3発を見た記憶があると説明。だが「その全てを確認するべきだったが、しなかった」といい、グティエレスリードさんが弾倉を回転させて薬室の中身を見せたかどうかは覚えていないと供述している。(c)AFP/Nick Layman