中国で自然災害による損害の補償率はまだ10% 災害保険の充実が急務に
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【10月28日 東方新報】毎年のように続く世界的な異常気象。中国でも自然災害が多発しているが、市民の被害を補償する災害保険制度が普及しておらず、対策が急務となっている。
今年7月下旬に河南省(Henan)で異常な豪雨が発生し、市民の被害は1か月以上に及んだ。中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)によると、保険業界から支払われた金額は約114億元(約2032億円)。被害総額の約10%をカバーした計算だ。9万人近い死者・行方不明者が出た2008年の四川大地震では、保険業界が負担した金額はわずか0.2%だった。それに比べると保険業界による救済割合は高まっているが、生命保険や自動車保険、農業保険など個別の保険による補償が大半。災害保険による支払いは少なかった。
スイス・チューリッヒに拠点を置く大手保険会社スイス・リー(Swiss Re)によると、世界の保険業界は自然災害による損害の約40%を補償しており、中国の保険業界の負担率はまだまだ低い。
そんな中、近年は各地の地方政府が保険会社と災害保険契約を結ぶ取り組みが増えている。中国南部の広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)は2014年から、暴風、暴雨、地震、津波、洪水、地滑りなど16種類の災害で保険会社5社と災害保険を契約。市民が死亡・負傷した場合、最大25万元(約446万円)までの医療費や障害給付金、死亡給付金を支払っている。戸籍のある住民だけでなく市外からの出張者、旅行者、出稼ぎ労働者なども対象だ。これまで5287人に計1630万元(約2億9057万円)を支払っている。広東省政府も災害保険契約を試行的に導入し、2018~2020年に総額9億8400万元(約175億円)を被災者に支給。災害直後の復旧・復興に役立てている。
こうした取り組みは全国的にも広がっているが、裕福な地域に限られているのが実情だ。深セン市は「中国のシリコンバレー」と言われるように新興IT企業が多く集積している。その深セン市を含む広東省も中国有数の産業地帯だ。経済先進地域以外では、保険会社との高額契約に二の足を踏む地方政府が多い。また、保険業界の方も被害総額が膨れ上がる恐れのある災害保険に積極的に関与しようとしていない。首都経済貿易大学(Capital University of Economics and Business)保険学科の庹国柱(Tuo Guozhu)教授は「災害保険の必要性は高いが、実現度はまだ低い。議論は多いが、実践は少ない」と指摘している。
急激な経済成長により中国社会全体のインフラ資産と市民の個人資産はそれぞれ増えており、大規模災害時に復旧や補償の資金を速やかに確保することは、社会・経済の安定に不可欠だ。政府とCBIRCはそれぞれ地方政府や保険業界に災害保険制度を充実させるよう求めている。(c)東方新報/AFPBB News