【10月30日 AFP】まるでロックスターのような人気を博す天才ティーンエージャーの出現で、日本伝統のボードゲーム・将棋がその本場で新たなブームを呼んでいる。

 一躍時の人となったのは、藤井聡太(Sota Fujii)三冠(19)だ。その目を見張るような活躍と独特な魅力で、将棋の古めかしいイメージは刷新され、新たに対局の観戦を楽しむ人が増えた。

 さらに今夏は将棋界の最高位・九段に史上最年少で昇段すると、9月には将棋の八大タイトル戦のうち三タイトルを制する三冠も最年少で達成。現在、四冠を目指し「竜王戦」に臨んでいる。

 中村太地(Taichi Nakamura)七段はAFPに「今までは将棋ファンの人しか興味を持って見てくださっていなかったですけど、普通のニュース番組とかでも将棋が取り上げられて、新たな将棋ファンが開拓されました」と語った。

「今まで女性ファンが少なかったですけど、藤井聡太さんの出現によって女性の方も大変興味を持って、将棋を見てくださるようになりました」

 ぼさっとした髪形に屈託のない笑顔、高めの声と軽快な語り口。異例のアイドルとなった藤井三冠の姿は、雑誌や広告、テレビなどあちこちで見かけることができる。対局中に食べた好物のケーキは、店頭で数時間のうちに売り切れてしまう。

 メディアでの藤井三冠の発言は、総じて控えめだ。三冠獲得後には「タイトル数自体、あまり気にしていない。最終的(な目標)というのは現時点ではない。どこまで強くなれるかが一番大事なこと」と語った。

 引退棋士の石田和雄(Kazuo Ishida)九段は「私もこの道50年以上、半世紀以上になる。今まで飽きません」と語る。「なぜ飽きないか。それは千変万化、同じ局面がないからね」