【10月21日 CNS】北京市にある骨董(こっとう)品市場・潘家園(Panjiayuan)は「深夜に市が始まり、夜明けには終わっている」と言われる。夜に徘徊(はいかい)する鬼にちなんで「鬼市」とも呼ばれている。掘り出し物を探す客は暗闇の中、懐中電灯で品定めをして、売り主と値段の駆け引きを楽しんでいる。

 北京では古くから骨董品市場があり、宋の時代にはすでに鬼市が盛んだったという記録がある。現在の鬼市は清朝末期までさかのぼることができる。1970年代末に改革開放政策が始まって以降、北京市の東三環状道路近くにある潘家園は活気を取り戻した。その中で、営業許可を得ていない売り主は夜明け前の午前3時や4時に商売を始め、鬼市が定着した。

 潘家園の売り主や常連客の間では「夜明けの出品に思惑あり、真贋(しんがん)に見極めを要す」という「隠れルール」がある。売り主は観光客が訪れる平日の朝市は模造品や偽物の骨董品を売り、週末の夜に開かれる鬼市で本物を売るという。

 年代物の家具や彫像、書画、古書籍、切手など、潘家園の骨董市は古き中国の文化を伝えている。骨董品愛好家の1人、寇中豪(Kou Zhonghao)さんは「年配の世代にとって懐かしさを感じる場所。暮らしに楽しみを与えてくれます」と話す。

 近年の中国はeコマース(電子商取引)が急激に広がっており、潘家園の骨董商人たちもオンライン販売やインターネットのライブ配信に力を入れている。また、「掘り出し物市」「胡同(下町)の古物市」「1元(訳7円)からの低価格オークション」などのイベントを行い、来場者に骨董文化の魅力と買い物の楽しさを伝えようとしている。

 新型コロナウイルスが昨年大流行した際、潘家園の市場は中断を余儀なくされたが、今年春に再開。北京潘家園骨董品市場株式会社の張悦(Zhang Yue)副社長は「鬼市は、北京の『店を閉じない』文化の新たなランドマークになる」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News