【10月18日 AFP】カリブ海(Caribbean Sea)の島国ハイチで16日、米援助団体に所属する宣教師と家族ら17人が何者かに拉致された。政情不安に陥っている同国ではギャング犯罪が横行しており、政府は対応に苦慮している。

 米オハイオ州の援助団体クリスチャン・エイド・ミニストリーズ(Christian Aid Ministries)によると、拉致されたのは米国人16人とカナダ人1人。うち5人が男性、7人が女性、5人が子どもだという。

 ハイチの市民団体と治安筋によれば、宣教師らは児童養護施設を訪れた帰り、車数台で移動中に首都ポルトープランスの東約30キロの地点で犯罪組織の一団に行く手を遮られた。匿名で取材に応じた治安関係者は、ギャング団「400マオゾ(400 Mawozo)」の犯行だとしている。

 400マオゾは、掌握地域の道路を通る車を乗っ取ってはハイチ人や外国人を拉致し、高額の身代金要求を繰り返している犯罪集団で、バスの乗客全員を拉致したこともある。ハイチでは、7月のジョブネル・モイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺に伴う政治危機と治安悪化に乗じて、こうした武装ギャング団が勢力を着実に拡大している。

 ポルトープランスを拠点に活動する人権団体「人権分析研究センター(CARDH)」のゲデオン・ジャン(Gedeon Jean)代表は、「警察にはギャングに対抗する力がないことがはっきりしている」と述べた。CARDHの統計では、ハイチでは今年1〜3月に600件を超える拉致事件が発生しており、前年同期の231件から急増している。(c)AFP