■アジアからの移民ともに米大陸へ

 人類は大氷河時代に、シベリア(Siberia)からアラスカまでベーリング海峡(Bering Strait)を渡り南北アメリカ大陸に移住したと考えられている。

 メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)の学者ラウル・バラデス(Raul Valadez)氏(生物学、動物考古学)は、「家畜化した犬が初めて米大陸に移入したのは、およそ1万5000年前。アジアから人がベーリング海峡を渡った結果だ」と話す。

 AFPとの電話取材で同氏は「人間なしで犬が存在したことはない」と述べた。

 後期更新世に人類が存在していたことは、北米の南端であるメキシコ、そして南米のチリやパタゴニア(Patagonia)で証明されている。しかし、中米ではこれまで証拠が見つかっていなかった。

「(化石は)南北アメリカで見つかった最古の犬の骨に違いない」とコスタリカの研究者バルガス氏は言う。

 これまでに確認されている最も古い犬の骨は、アラスカで見つかった1万150年前のものだ。ただ、専門誌による検証がないと、コスタリカで見つかった化石が1万2000年前の犬のものであるとは認められない。

 英オックスフォード大学(University of Oxford)は、化石の動物の遺伝子情報を得るためのDNA検査と、生存していた年代を特定するための炭素測定を申し出ている。

 バルガス氏は、もし犬であると確認されれば、当時の社会は「犬を飼育でき、食べ物が豊富で、好んで犬を飼っていたということになる」と述べ、また「人を傷つける目的で飼われていなかったということも分かる」と付け加えた。(c)AFP/David GOLDBERG