【10月25日 AFP】ベネズエラの首都カラカス近郊で、森に返したばかりのナマケモノの「マルハ58(Maruja 58)」が落ち着くまで、アイデ・ロドリゲス(Haydee Rodriguez)さんは見守った。

 マルハ58は、ロドリゲスさんと夫のフアン・カルロス(Juan Carlos)さんがチュウィー財団(Chuwie Foundation)を通じて救出・世話をし、森に返した58匹目のナマケモノだ。

 カラカス近郊サンアントニオデロスアルトス(San Antonio de los Altos)にある財団は、中南米の熱帯雨林に生息するナマケモノを保護するために2人が立ち上げた。チュウィーという名は、2人が最初に保護したナマケモノにちなんでおり、その顔は財団のロゴマークに使われている。

 国内に生息するナマケモノの個体数の政府統計はないが、森林破壊により生息地が縮小していると世界自然保護基金(WWF)は指摘する。

 国際自然保護連合(IUCN)が作成した絶滅の恐れがある野生生物リスト「レッドリスト(Red List)」で、ピグミーミツユビナマケモノは「深刻な危機(CR)」に、タテガミナマケモノは「危急(VU)」に分類されている。

 カラカス近郊のナマケモノは、犬の襲撃、交通事故、森林地帯に広がる高圧線という主に三つの脅威にさらされている。高圧線につかまろうとし、感電する。

 チュウィーもそうやって感電し、左腕の一部を失い、深刻なやけどを負った。夫婦はチュウィーを獣医師の所に連れて行き、その後引き取った。

 ニュースメディアに勤めるロドリゲスさんとグラフィックデザイナーのカルロスさんは、ナマケモノの現状を知ってもらおうとソーシャルメディアに「@Chuwieelgalan」というアカウントを立ち上げた。現在インスタグラム(Instagram)のフォロワー数は約1万人に上る。

 2人はコスタリカの環境専門家からナマケモノの世話の仕方を学び、数か月後にけがをしたナマケモノの保護を始めた。

 日中はそれぞれ仕事があるが、今ではナマケモノが2人の時間の大半を占めている。