■ 日本向けに情報発信

 中国ではユーチューブやツイッター(Twitter)などが使えない。そのためチャンネルのコメントは、中国はとても閉鎖的で、中国人は外の世界を知らないと思っている日本人からのものが多い。

「実際はその逆だと思います」と、ヤンさんは話す。「微博(ウェイボー、Weibo)、ビリビリ動画(bilibili)、抖音(ドウイン、中国版TikTok)などのプラットフォームで、世界中の中国人が中国に向けて世界の情報を発信しています。日本にまったく行ったことがない中国人でも、日本についていろいろ知っているのです」

「中国の視聴者に日本の情報を発信すると、『日本いいね!』『日本に行きたい』といった好印象のコメントが多いです。日本向けに中国の情報を発信する際、いつも気を付けているのは、上から目線で中国のことを伝えないようにすることです。『中国のここがいいですよ』『日本より進んでいますよ』と言ったりすると、反感を持たれてしまうからです」

 外国人にとって日本語の表現は難しく、言葉の選び方を少しでも失敗すると、誤解が生じてしまうとも言う。

「食べ物やポップカルチャーなどをきっかけに、中国に興味を持ってくれたら。自身でいろんな情報を調べ、現地に行って自分の目で中国を見ていただき、イメージしていた国とは違うことを理解してもらえると、誤解はなくなると思います」と語る。

「日本人は中国に対してすごい金持ち、高層ビルというイメージもあるかもしれないけれど、実際はすごく多様性のある国で、民族もたくさんいるし、地域の発展の仕方も違います」

■コスパは悪いが

 民泊経営が本業のヤンさんは、半ば「ボランティアの精神」で中国情報を伝えており、収入はあまり気にしていない。

 ユーチューブで得ているのは主に広告収入で、動画の再生回数に左右される。ヤンさんはユーチューバーとして生計を立てるのは厳しいとみている。「ビジネスとして考えた場合、すごくコスパの悪い仕事です。私はたまたま運が良くて、チャンネル登録者数が10万人に達しましたが、民泊の方が稼げますし、楽です」と言う。

 コロナ収束後にも、ヤンさんは思いをはせる。「中国で動画を撮影し、リアルな中国事情を日本の視聴者に伝えたいです。深セン(Shenzhen)や上海などの超現代都市はもちろん、出身地の四川省の田舎の景色や生活の様子を皆さんに見てもらいたいです」 (c)AFPBB News