<この記事は、宣伝会議「編集・ライター養成講座」を受講した鄧虹の卒業制作を基に編集されたものです>

【10月21日 AFPBB News】中国四川省(Sichuan)出身で、2011年に交換留学で来日した楊小溪(Yang Xiaoxi、ヤン・シャオシ )さんは、当時通っていた北九州の学校で、中国人と接したことがない友達から「ヤンさんの実家にエアコンと電子レンジはあるの?」「中国の若者も携帯を使うの?」と聞かれ、最初はばかにされたと感じ、がっかりした。しかし今は、実際はそうではなく、日本人は現在の中国のことを知らないだけと考えている。

 ヤンさんは4年前から、日本での生活や留学経験などを中国のインターネット交流サイト(SNS)で発信している。中国には日本に興味を持つ人がたくさんいるため、すぐにフォロワー数が伸び、広告も付いた。しかし、日本ではメディアが発信する中国の情報が限られているため、中国の若者の間で何が流行しているのか、ほとんど知られていない。

「やっている人が少ないからこそ、やるべきだ」「知れば知るほど理解が深まる」と考えたヤンさん。ユーチューブ(YouTube)チャンネルを開設し、日本人に向けて中国のリアルな情報を伝え始めた。2021年10月時点でチャンネル登録者数は12万人を超える。「動画を通して少しでも中国に興味が湧き、理解が深まればうれしい」と、ヤンさんは語った。

 2019年に中国語を教える動画を投稿した際には、再生回数は2桁にとどまり、ユーチューブでの活動を一度は断念したヤンさんだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事の多くが白紙になったことを受け、2020年にチャンネルの更新を再開。以前の中国語を教える内容から、日本の芸能人が話す中国語の発音チェックや、中国のポップカルチャーを紹介する内容に変えると、フォロワー数も再生回数も増えた。

 中国向けに日本の情報を発信するインフルエンサーはたくさんいるが、日本向けに中国の情報を発信する人は少ない。「日本ではどうしても中国に対してマイナスの印象を持つ方が多いから、その誤解を解消したい」と考えた。ヤンさんは、ユーチューバーとしてのやりがいと将来性を見いだし、日本での活動を本格化させた。