■生産現場の課題は「時代に追いつく」

「インドは世界の需要に応えることができるが、それには二つのことが必要だ。すなわち、さまざまな製品を作るための(中略)生産スキルの向上と、機械のアップグレードだ」と指摘するのは、「ジュートと関連繊維中央研究所(Central Research Institute for Jute and Allied Fibres)」のゴーランガ・カル(Gouranga Kar)所長だ。

 西ベンガル州には約70のジュート工場があるが、中にはコーヒー豆や穀類を詰める目の粗い袋の製造を主としていた19世紀以来、機械や製造法がほぼ変わっていない工場もある。

 ジュート工場の一つ、「メグナ・ジュート・ミルズ(Meghna Jute Mills)」では薄暗い大部屋で、繊維の粉じんをかぶったはだしの作業員が数百人、8時間制のシフトで交代しながら24時間休みなく操業していた。

 社長のスプリア・ダス(Supriya Das)氏は「最先端の機械があれば、私たちは質の高い糸を製造できる。多様な用途に合わせて繊維の品質を上げていかなければならない。装飾品や敷物といった付加価値のある製品を取り入れない限り、ジュート産業に成功はないだろう」と語った。

 市場調査会社リサーチ・アンド・マーケッツ(Research and Markets)によると、消費者が使い捨てプラスチックの代替品を求めていることから、世界のジュート製バッグの市場規模は昨年20億7000万ドル(約2400億円)に達した。2024年には31億ドル(約3500億円)に成長すると予測されている。