【10月16日 AFP】アフリカ・ベナン南部ハンズーン(Hlanzoun)の湿地林には、鳥のさえずりが響きわたり、サルが木から木へと飛び移っている。

 カヌーでしかアクセスできないこの場所は、ベナンに残された数少ない湿地林の一つで、かつては数多くの動植物であふれていたが、専門家は、この湿地林が消滅の危機にあると警告している。

 地域を流れる川にちなみ名付けられた約3000ヘクタールの森には、植物241種と動物160種が生息している。中にはアカハラグエノンやヌママングース、湿地に生息するレイヨウのシタツンガなどがいる。

 だが、フランスの鳥類学者で写真家のバンサン・ロメラ(Vincent Romera)氏は、「個体数は激減しています」と言う。

 密猟者のものと思われる銃の発砲音が鳴り響き、辺りが静まり返ることもあると話した。

 地元の観光ガイドは、周辺のコミュニティーでは「お金欲しさに、銃を使える人が動物を殺しに行くのです」と説明する。

 だが、密猟よりも森にとって脅威となっているのが過剰な伐採だ。

 現地では、木を切り倒してまきを調達している他、酒を造るための材料としてヤシの樹液を採集している。

 ベナンで環境問題に取り組むNGO「ナチュール・トロピカル(Nature Tropicale)」のジョセア・ドス・ボドレヌ(Josea Dossou Bodjrenou)氏によると、農地を開くために木を切り倒して燃やす慣習の影響も大きいという。

 森林の破壊によって生息地を追われた動物は、餌を求めて農場に入り、そこで密猟者に狙われる。

「この場所は消滅の危機にある」と現地の農業経済学者ジュディカエル・アラダティン(Judicael Alladatin)氏は指摘する。

 ただ、「この貧しい地域で苦しい生活を強いられている住民を責めることはできない」と述べ、別の収入源が確保できる環境を整えることが関係当局には求められるとした。(c)AFP/Josue MEHOUENOU