【10月11日 AFP】チェコのミロシュ・ゼマン(Milos Zeman)大統領が10日、病院に救急搬送された。チェコでは前日開票された下院選(定数200)で与党が僅差で敗北を喫しており、政局の不透明感が強まっている。

 首相指名権限を有するゼマン氏は、アンドレイ・バビシュ(Andrej Babis)首相との会談の直後、病院へ運ばれた。病院に到着した時点では頭を自力で支えられず、意識が無い様子だった。

 担当医師によると、ゼマン氏は集中治療室(ICU)に入っている。一方、タブロイド紙ブレスク(Blesk)は「搬送中に眠ってしまっただけだ。意識不明だったわけではない」とする大統領府関係者の発言を伝えた。

 現地紙ムラダー・フロンタ・ドネス(DNES)は、ゼマン氏の容体は安定しており、3週間ほど入院する可能性があると報じた。

 報道によれば、ゼマン氏には肝臓の持病がある。また、同氏は普段から車椅子を使っている。今回の選挙では、体調を崩して軍病院に1週間余り入院してから1か月もたっていなかったため、大統領公邸で投票を行っていた。

 チェコの憲法では、大統領が職務を遂行できないと上下両院が宣言した場合、新たに選出される下院議長に新首相の指名権限が委ねられる。

 下院選では、中道右派の野党連合「SPOLU」が27.79%を獲得し、得票率27.12%のバビシュ氏率いる連立与党「ANO 2011」を僅差で破った。ただ、バビシュ氏は続投の意向を示している。

 SPOLUは右派の「市民民主党(ODS)」、中道右派「TOP 09」、中道派「キリスト教民主同盟(Christian Democrats)」で構成され、野党連合による連立政権を発足させる方針を明らかにしている。SPOLUは「海賊党(Pirate Party)」と「無所属および首長連合(STAN)」から成る野党連合と合わせて108議席を獲得し、過半数を確保する見通しだ。(c)AFP/Jan FLEMR