【10月10日 AFPBB News】日本全国の障害者施設で作られた雑貨を扱う専門店「マジェルカ(Majerca)」(東京都武蔵野市)が、10日から来月10日までの1か月間、クラウドファンディングで資金を募る。創業11年目を迎える同店だが、新型コロナウイルスの流行のため客足が遠のき、営業を続けるため、今回初めて協力を呼び掛ける。

 マジェルカの藤本光浩(Mitsuhiro Fujimoto)代表(51)は「コロナ禍で売り上げが激減し、赤字に陥っている」と明かした。支援活動を担う福祉ショップとは違い、行政からの補助はない。「この場所を続けてほしいと思ってくれる方がいれば、ぜひ協力してほしい」と語る。

 マジェルカはこれまでに200か所以上の障害者施設と取引し、現在1500点を超えるアイテムを扱っている。

 主にアイテムを厳選するのはバイヤーでもある藤本さんだ。販売企画で見つけた木工品が障害者施設で手掛けられたものだったことがきっかけで、2011年にマジェルカを立ち上げた。

「(商品)価値があるのに、福祉ショップにわざわざ行かないと知られていないことがもったいないと思った」と藤本さん。当初は岡山県や山口県など地方にも足を運び、商品を開拓したという。

 マジェルカは、障害者福祉で作られる製品を適正価格で販売する「ウェルフェアトレード」を実践してきた。吉祥寺の店内に並ぶのは、商品としての魅力や価値が備わっていると判断されたものだ。藤本さんがデザインや仕様について、買い手側の視点から助言をすることもある。売値の半分以上が障害者施設と製作者に還元される。

 作業所によって、身体障害や知的障害、精神的な障害など、働く人の障害はさまざまだという。

 20坪の売り場には、ポーチやアクセサリー、陶器、ガラス製品、文房具、ブローチなど一点ものの品々が所狭しと並ぶ。

 店名は、日本語の「混ぜる」から来ている。運営に携わる伊藤みのり(Minori Ito)さん(45)は「障害のある・なしにかかわらず世の中を混ぜよう」という意図だと説明した。

 障害者と健常者との関わりが薄いことについて藤本さんは「きっかけがないだけ」と語る。ボランティアなどを通じて主体的に接点を持つ人と持たない人の二極化を感じる中、「気軽に、普通に関わってもいいのでは」という思いが路面店の運営につながっている。

 店を訪れたコジリアン・直子(Cojerian Naoko)さん(54)は、「手作りや温かみのある感じや、他にはないデザインが多いので気に入っています」と話した。これまでにバッグや髪留めを購入した。クラウドファンディングについては「どこも厳しいとは思いますが、工夫して残っていただけたら」と語った。(c)AFPBB News/Marie SAKONJU