【10月6日 AFP】ベネズエラの一流女子サッカー選手24人が5日、同国年代別代表を率いた経験を持つケネス・セレメタ(Kenneth Zseremeta)氏から性的虐待を受けていたことを明かした。SNSに投稿した発表文で、選手たちはセレメタ氏を「怪物」と呼んでいる。

 24人の中には、スペイン1部リーグのアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid Femenino)でプレーし、2017年には年間最優秀選手の3人の候補の一人に入ったデイナ・カステラノス(Deyna Castellanos)もいる。カステラノスのSNSに投稿された全員の署名入りの文章で、選手たちは「昨年、仲間の一人が私たちに、14歳のときからこの監督に性的に虐待されていたことを告白した」と話した。誰が被害者かは明らかにしていない。

「そこで私たちは、サッカー指導者ケネス・セレメタによる肉体的、精神的、性的な虐待と嫌がらせに歯止めをかけ、女子サッカーやサッカー界全体でさらなる犠牲者が出るのを防ぐためにも、沈黙を破ることにした」

 発表によると、最初の一人の告白をきっかけに、「何人もの仲間が嫌がらせや異常な質問と誘い、代表枠をちらつかせた脅迫、突然の贈り物の要求、マッサージなどの体験を語るようになった」という。

 さらに24人は、虐待が実行できたのはコーチングスタッフの一部が関わっていたからだと主張し、「私たちの多くが、今もトラウマと心の傷に苦しんでいる」と訴えた。

 パナマ出身のセレメタ氏は、2008年から2017年にかけて、いくつかのカテゴリーのベネズエラ女子代表チームを指揮し、17歳以下の南米女王に2回、3度のU-17女子W杯(FIFA U-17 Women's World Cup)本大会出場にチームを導いた。そのうち2回はベスト4に入った。

 しかし24人は、「国際サッカー連盟(FIFA)と各大陸連盟、各国連盟、各国リーグのすべての関係者は、この『コーチ』が今後もう女子サッカーの世界で生きられないようにしてほしい」と呼びかけている。(c)AFP