■ファッションの道に進むきっかけをつくった映画

 今は、いろいろなことに挑戦してみたいと話す。「新たなステージです。ファッションだけにこだわりたくありません」とゴルチエ氏は言う。「新作のコレクションをつくっているような気分です。ファッションと映画をミックスした新しい冒険です」

「テーマは、さまざまなスタイルの融合です。貧困層と富裕層、労働者階級と貴族階級、両極の出合いから、新しいものが生まれます」

 展示作品は、ポピュラーカルチャーのトレンドも押さえ、今年のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で最高賞「パルムドール(Palme d'Or)」を受賞したホラー映画『Titane(チタン)』などの最新作も網羅している。同作についてゴルチエ氏は、「大変よくできている映画で、非常にパワフルな女性を実に現代的な方法で表現しています」と評した。

 ゴルチエ氏の原点を示す展示作品もある。その中の一つは、ジャック・ベッケル(Jacques Becker)監督による1945年の映画『偽れる装い(Falbalas)』」だ。ファッションの道に進むきっかけになった。

「あれは私のバイブルでした。服飾関係の学校には行かなかったので、この映画で学びました。(中略)オートクチュールの世界を描いた素晴らしい作品です」とゴルチエ氏は言う。

「ファッションショーのシーンで観客が拍手をしているのを見て、『あの仕事をしたい!』と思ったのです」 (c)AFP/Olga NEDBAEVA