【10月4日 AFP】自転車ロードレースのワンデークラシック、パリ~ルーベ(Paris-Roubaix 2021)は3日、仏パリ郊外のコンピエーニュ(Compiegne)からルーベ(Roubaix)間の258キロで行われ、バーレーン・ヴィクトリアス(Bahrain Victorious)のソニー・コルブレッリ(Sonny Colbrelli、イタリア)が3人による追いつ追われつの大接戦を制し、優勝を果たした。

 泥と石畳を越える厳しいレースでは、イネオス・グレナディアーズ(Ineos Grenadiers)のジャンニ・モスコン(Gianni Moscon、イタリア)が単独での逃げを図り一時は優勝が見えていたが、パンクと落車を喫して脱落。

 代わりに、悪天候ですでに泥だらけになっていた欧州王者コルブレッリとロット・ソウダル(Lotto Soudal)のフロリアン・フェルメールス(Florian Vermeersch、ベルギー)、アルペシン・フェニックス(Alpecin-Fenix)の優勝候補マチュー・ファン・デル・プール(Mathieu Van der Poel、オランダ)の3人が、残り15キロの石畳区間でモスコンを捉え、追い越した。

 3人はそのまま一緒にルーベのベロドロームに入ると、ゴール直前で仕掛けたのは22歳のフェルメールスだったが、最後はワンデーレースのスペシャリストであるコルブレッリがライン手前で差し、栄冠に輝いた。ゴール後、すぐにシャワー室に案内されたコルブレッリは、表彰式で石のトロフィーを手にし、国歌が演奏されると涙を流した。

 今大会はエントリーした173人のうち半数近くがリタイアもしくは時間内にゴールできず、完走できただけでも誇らしい過酷なレースとなった。

 雨天によって道路のくぼみは泥水で満たされ、ジャガイモとビーツの畑を通る一部のセクションはぬかるみで覆われた。そのため、ボーラ・ハンスグローエ(Bora Hansgrohe)のペーター・サガン(Peter Sagan、スロバキア)やチーム・ユンボ・ビスマ(Team Jumbo Visma)のワウト・ファン・アールト(Wout van Aert、ベルギー)といった実力者は激しい落車に見舞われ、そこから完全に立て直すことはできなかった。

 前夜に暴風雨が夜通し続いた影響で、「北の地獄(Hell of the North)」と呼ばれるレースは、例年以上に困難で予想不能なものになるのではないかという不安が生じていた。嵐自体はレース開始時に過ぎ去っていたが、コースは非常に劣悪なコンディションで、あちこちで落車が発生した。

 それでも、コースがぬれた状態でのパリ~ルーベは、驚くべきことにこの20年で初めてだったことから、スタートラインに立った全員が泥だらけのレースの経験がなく、あまりの滑りやすさにテレビカメラを乗せたバイクが転倒する一幕もあった。(c)AFP/Damian MCCALL