【10月2日 AFP】フランスで、35年間にわたり未解決となっていた連続殺人事件の犯人とされる元警察官の男が、自殺しているのが見つかった。警察が男の正体に迫ろうとしていた矢先のことだった。

 パリの検察当局と関係筋によると、フランソワ・ベロブ(Francois Verove)容疑者(59)は、聴取のための出頭を求められた後、遺書を書いて、自身が借りていた南仏の住宅で自殺。その後、DNA鑑定により、事件の容疑者と特定された。

 連続殺人犯は「ル・グレール(あばたの男)」という異名で知られ、1980年代から少女の殺害やレイプを繰り返し、警察が行方を追っていたが、捕まることはなかった。

 パリの検察当局が9月30日夜に行った発表によると、80年代から90年代にかけて男が犯したとされる一連の罪には、未成年者のレイプ、殺人、殺人未遂、武装強盗、未成年者の誘拐などが含まれる。ベロブ容疑者の死亡を受け、捜査を担当する判事は直ちにDNA鑑定を命令。複数の犯行現場から発見されたDNA型が、容疑者のものと一致した。

 関係筋がAFPに語ったところによると、ベロブ容疑者は賃貸アパートで自殺。遺書で犯行を自白していた。

 捜査当局は数か月前、事件当時パリとその周辺に配置されていた憲兵約750人の聴取を開始。そのうちの一人がベロブ容疑者で、9月24日の召喚状で同月29日の出頭を命じられた。しかし、27日に妻が容疑者の失踪を通報。2日後、地中海沿岸の保養地グローデュロワ(Grau-du-Roi)で、容疑者の遺体が発見された。

 ベロブ容疑者は元憲兵で、後に警察官になり、退職していた。地元メディアによると、遺書では「過去の衝動」に言及。その後は衝動を「制御して」おり、1997年以降は犯罪行為には及んでいないと告白したが、具体的な犯行内容には触れていなかった。(c)AFP