【10月7日 AFP】南米コロンビアでは、街角で「非致死性」と称される銃が合法的におもちゃ程度の値段で売られている。非致死性とはいえ、重傷を負わせる威力があるこうした模造銃が、犯罪多発都市で多数出回っている。

 模造銃を買い求めているのは、犯罪者と市民だ。攻撃や護身を目的としている。数十年に及んだ内戦の傷がいまだに癒えていない国で、無法状態が進んでいる表れだと専門家は指摘する。

 模造銃の治安への影響は「致命的」だ、とコロンビアの治安専門家、オルランド・カリーヨ(Orlando Carillo)氏はAFPに語った。

 コロンビアのシンクタンク「平和のためのアイデア財団(FIP)」によると、同国での模造銃の販売数は、輸入が合法化されてからの12年間でおよそ160万丁に上っている。

 本物の銃にそっくりで、口径9ミリまたは7.65ミリのカートリッジから弾を発射する。本物との唯一の違いは、弾丸がゴム製であることだ。

 それでも、射程15メートル以内ならゴム弾でも「骨や筋肉に重傷を負わせることができる」とカリーヨ氏は言う。「目や動脈など軟らかい部位に当たれば、命に関わることもある」

 模造銃は元来、標的射撃用のスポーツ銃としてつくられた。コロンビアでは中国とトルコから輸入され、ショッピングモールやスーパーマーケット、街頭やインターネット上などあらゆる場所で売られている。

 首都ボゴタにある店舗のウインドーには、グロック(Glock)、ストーム・ベレッタ(Storm Beretta)、チェスカー・ズブロヨフカ・ウヘルスキブロッド(CZ)、ヘッケラー・アンド・コッホ(Heckler&Koch)などのレプリカが堂々と展示されている。警察や銃の取り扱いに慣れている専門家でも本物と見間違えそうだ。

 一番の売れ筋はベレッタの「Blow TR92」。イタリア製の本物の銃そっくりにつくられている。

「面倒な手続き不要。必要なのはお金と身分証明書だけ」と宣伝されているものもある。

 模造銃の値段は1丁約130〜400ドル(約1万4000〜4万5000円)。グロックの真正拳銃なら1丁約2000ドル(約22万円)するところだが、それに比べれば、非常に安価だ。