【9月29日 AFP】タイの北部・中部30県で洪水が発生し、これまでに6人が死亡した。当局は28日、首都バンコクでも洪水の恐れがあることから、急ピッチで対策を進めた。

 災害防止軽減局(DDPM)によると、台風15号(アジア名:ディアンムー、Dianmu)の影響で30県で洪水が発生し、中部が最も深刻な被害を受けた。

 バンコクを流れるチャオプラヤ(Chao Phraya)川では、上流でダムの放流が実施され、水位が徐々に上昇している。

 バンコクの北方約60キロに位置する古都アユタヤ(Ayutthaya)では28日、遺跡などを洪水から守るため、兵士がバリケードや土のうを設置した。

 バンコクでは2011年雨期に過去数十年で最悪の洪水が発生し、都内の5分の1が冠水し、500人以上が死亡した。今回は前回ほどの被害は出ないとみられている。

 バンコク都庁(BMA)は、チャオプラヤ川の水位を注視しており、送水ポンプと土のうを準備していると述べた。

 タイ在住の外国人に人気の繁華街・住宅地トンロー(Thonglor)では、運河周辺の銀行や事務所などの外に土のうを積む作業が始まった。

「東洋のベネチア(Venice)」と呼ばれたバンコクは、海抜約1.5メートルの湿地帯にある。かつては農地と田んぼが洪水時には水を吸収していたが、現在は都市開発が進み大部分が宅地になっている。

 地元メディアによると、地下に貯水施設やトンネルを造るバンコクの治水基本計画は、土地所有権の問題で完成には至っていない。(c)AFP