Q:今後の展開は?

A:不動産業は中国経済のけん引役の一つであり、新型コロナウイルス禍後の経済再建に向け重要な役割を担っている。業界を代表する大企業が破綻すれば、多方面への影響は必至だ。

 英経済調査会社キャピタル・エコノミクス(Capital Economics)のアジア担当チーフエコノミスト、マーク・ウィリアムズ(Mark Williams)氏は、落としどころとして可能性が最も高いのは「管理された再編」だと指摘。「他の開発業者が、恒大が開発用に保有している土地の権益と引き換えに未完成の物件を引き継ぐことになるだろう」との見方を示した。

 恒大は、香港で上場しているネット事業や地方銀行、中国本土の不動産会社などの保有株を売却してきたが、香港本部ビルの売却では難航している。

 しかも、新たな規制によって未完成の不動産物件を販売できなくなったため、恒大がこれまで資金繰りに主に利用してきた先行予約販売の手法にも頼れなくなった。

 ただアナリストの中には、恒大のような巨大企業の破綻を中国政府が放置する可能性は非常に低いと見る向きもある。体制の安定が損なわれかねないからだ。

 一方でウィリアムズ氏は、政府が救済する公算は小さいとみている。恒大は「過剰な借り入れによる成長が許されてきた時代の申し子」だが、「政府としては規律の強化を求めている」と話した。(c)AFP/ Sebastien RICCI