【9月15日 AFP】米軍制服組トップのマーク・ミリー(Mark Milley)統合参謀本部議長が今年1月、退任を目前にしたドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が暴走して中国に戦争を仕掛けることを懸念し、極秘裏に中国側に連絡していたことが明らかになった。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)と米CNNが14日、間もなく発売されるボブ・ウッドワード(Bob Woodward)、ロバート・コスタ(Robert Costa)両記者による内幕本「Peril(危機)」の内容として報じた。

 同書によると、ミリー氏は当時、トランプ氏が核戦力を使用する動きを見せてもすぐに行動しないよう部下に命じ、中国中央軍事委員会の李作成(Li Zuocheng)連合参謀部参謀長に電話をかけたとされる。

 ミリー氏は大統領選直前の昨年10月30日と、トランプ氏の支持者らによる米連邦議会議事堂襲撃事件から2日後の1月8日の2回にわたり李氏に電話をかけ、トランプ氏の反中的な言動が軍事行動に結びつくことはないと確約した。

 また、米軍幹部に対し、トランプ氏が大統領権限で核攻撃を命令しようとした場合は、まず自身に知らせるよう指示した。

 さらに、米中央情報局(CIA)のジーナ・ハスペル(Gina Haspel)長官や米国家安全保障局(NSA)のポール・ナカソネ(Paul Nakasone)長官らと、トランプ氏が見境のない行動を取る可能性に備えて警戒する必要性について話し合っていたという。

 米国防総省は、同書の内容についてコメントしていない。

 一方、トランプ氏は14日に声明でミリー氏をののしり、米軍のアフガニスタン撤退が大混乱に陥った責任は同氏にあると非難。「大統領に隠れて中国側と取引したことで、反逆罪で裁かれることになるだろう」と述べた。(c)AFP/Paul HANDLEY