■「白人より多い黒人の犠牲者」

 公式の統計によると、ワシントンでは今年に入って144件の殺人事件を記録した。昨年同期の127件に比べて13%増えた。これは全国レベルの増加率と同じだ。

 米国では銃を保有する権利が憲法で保障されており、国民の3分の1が最低でも1丁の銃を所有している。

 アフリカ系米国人は白人よりも銃暴力の犠牲者になる確率がずっと高い。黒人であるブラウンさんは、人種間の不平等がその大きな要因だと話す。

「白人と比べて黒人の犠牲者は多い」とブラウンさん。「人種のせいにしたくはないですが(中略)私たちが育つ社会と環境ではそうなっているのです」

 ブラウンさんは息子たちがなぜ殺害されたのかを知らず、捜査当局からも何の連絡もないと言う。

 昨年、アフリカ系米国人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官に拘束され死亡した事件をきっかけに、警察予算の打ち切りを求める声が高まった。だが、ブラウンさんの意見はそれとは反対だ。「警官や捜査官をもっと増やして…警察や首長が、残された家族をもっと訪問すべきです」

 3人の死に関する情報提供への報奨金は2万5000ドル(約270万円)となっている。しかし、容疑者はまだ捕まっていない。

 ブラウンさんは「知ることができれば、それでほぼ終わる」と言う。「対峙(たいじ)しているのは息子たちの死。私が向き合っているのはそれだけです」 (c)AFP/Agnes BUN and Charlotte PLANTIVE