【9月15日 AFP】デンマークの自治領フェロー諸島(Faroe Islands)史上最大規模とされる捕鯨が行われ、1日で1400頭以上のカマイルカが殺されたことについて14日、自治政府が激しい非難を浴びた。

 同政府報道官はAFPに対し、「哺乳類の狩猟や食肉解体になじみのない人々にとって、フェロー諸島の捕鯨が衝撃的な光景であることに疑いの余地はない」と前置きした上で「しかし、きちんと組織され、完全に統制されている」と説明した。

 同報道官によると、北大西洋に位置する人口約5万人のフェロー諸島で伝統的に行われているグラインドと呼ばれる追い込み漁では通常、イルカではなくゴンドウクジラを捕獲する。

 地元のテレビジャーナリスト、ハルル・アブ・ラナ(Hallur av Rana)氏は「グラインドで捕獲するのは通常数頭で、これほど大量に殺すことはない」と語った。

 グラインドではまず漁船団が半円状に獲物を囲んで湾内に追い込み、浜に打ち上がったところを殺す。「見た目は過激だ。通常はすぐに終わるが(今回は)全頭を殺すのに時間がかかった」とラナ氏は述べた。

 浜で血まみれになったカマイルカ1000頭以上の死骸の写真がソーシャルメディアに投稿され、怒りの声が上がった。

 ラナ氏によると、イルカ漁にはフェロー諸島の住民の約53%が反対している。だがグラインドについて、自治政府当局は持続可能な捕獲方法だと主張しており、廃止される予定はない。

 反捕鯨活動で知られる海洋環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd)」は、グラインドを「野蛮な行為」と非難している。

 地元の推計によると、フェロー諸島近海には約10万頭のゴンドウクジラが生息しており、昨年は約600頭が殺された。(c)AFP