【9月11日 AFP】カタールの首都ドーハにある収容施設ではここ数週間、イスラム主義組織タリバン(Taliban)が政権を掌握したアフガニスタンから飛行機で国外退避し、親と離れ離れになってしまった子どもら約200人が不安を抱きながら生活している。「私たち、これからどこに行くの?」と子どもたちは何度も尋ねる。

 現在、難民の子どもたちの世話をしているのは、人道支援団体「カタール・チャリティー(Qatar Charity)」だ。好奇のまなざしにさらされたり、人身売買業者の手に渡ったりしないよう、子どもたちを保護している。

「皆、ショック状態にあり、心の傷を抱えている」と支援活動をしている職員は話す。

 子どもを含む多くのアフガン人が国外に退避したが、中にはあまりに突然の脱出だったため当時の状況を思い出せない人や、どうやってカタールに来たのかについて、つじつまの合わない説明をする人もいる。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、親と離れてカタールやドイツなどに避難したアフガン人の子どもは8月14日以降、約300人に上っている。

 カブールの空港ゲートにいたフランスの警察官は、1人の女性が「必死になって自分の赤ちゃんを鉄条網の内側にいたフランスの特殊部隊に託し、受け取った隊員が赤ちゃんを米軍の医療関係者に渡す」のを目にしたと話している。

「その赤ちゃんは治療を受け、ドーハに避難した。とても小さい赤ちゃんだった。母親は、人混みにまぎれて見えなくなった」

 カタール・チャリティーをはじめとする団体は現在、主に8〜17歳の子どもの面倒を見ている。

 施設の雰囲気はアットホームだが、子どもたちは今も不安を抱いている。

 カタール・チャリティーの国際協力部門の責任者を務めるファティマザフラ・バッカリ(Fatima-Zahra Bakkari)氏は、施設を出て行く時はいずれ来ると子どもたちには伝えているが、「それがいつになるか、私たちにも分からない」と話す。

 ユニセフのヘンリエッタ・フォア(Henrietta Fore)事務局長は「親と引き離された子どもたちは、世界で最も弱い立場にある」と述べ、「家族を捜し出して再会させるまでの間、子どもたちの身元を直ちに突き止め、安全を確保することが重要だ」と強調した。(c)AFP/Didier Lauras