【9月11日 AFP】フランスの司法当局は10日、新型コロナウイルスの流行への対応をめぐり、アニエス・ビュザン(Agnes Buzyn)前保健相に対する予審を開始した。

 パリの特別法廷「共和国法院(CJR)」の検事によると、同院の捜査当局はビュザン氏を「人々の生命を危険にさらした」容疑で刑事訴追するに足る根拠があると判断。ただ、「惨事の阻止を怠った」容疑については予審開始には至らなかった。

 同日、裁判所での審問に出席したビュザン氏は「自分の立場を説明し、真実を立証する素晴らしい機会」を歓迎すると語った。同氏は予審開始の決定に異議を申し立てることができる。

 来年の大統領選では政府のコロナ対策が焦点となる見込みで、今回の決定はエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領にとって打撃となる。一方で法廷側に対しても、司法の行き過ぎだとの批判が上がる可能性が高い。

 ビュザン氏は、新型ウイルス流行初期の発言が批判や冷笑の対象となった。昨年1月の発言では、新型ウイルスが発生源の中国・武漢(Wuhan)からフランスに持ち込まれる恐れは「事実上ない」と断言。その後、「住民の間でコロナウイルスが拡大するリスクは非常に小さい」とも述べていた。

 フランス国内で初の新型ウイルス感染者が確認された数週間後の昨年2月、ビュザン氏は辞任した。(c)AFP