【9月11日 AFP】世界保健機関(WHO)欧州地域事務局のハンス・クルーゲ(Hans Kluge)事務局長は10日、新型コロナウイルスの集団免疫獲得への望みが新たな変異株の出現により薄まりつつあることから、ワクチンの普及によって同ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が収束するとの見通しに対し悲観的な見方を示した。

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 クルーゲ氏は記者会見で、新型ウイルスの流行が今後長年にわたり続く可能性があることから、各国の保健当局は接種計画を状況に応じて「徐々に順応させていく方法を見越し」ていかなければならないと指摘。特に追加接種の問題については重点的に知見を集めるべきだとした。

 クルーゲ氏は5月、「パンデミックはワクチン接種率が最低70%に到達すれば終わる」と発言していた。この数値を現在も目標としているのか、それとも目標の引き上げが必要になるのかというAFPの質問に対しクルーゲ氏は、感染力の強い「デルタ株」などの新たな変異株の出現により状況が変わったことを認めた。

 クルーゲ氏は「ワクチン接種の目標は、第一に重症化と死亡を防ぐという段階に達している」と言明。「新型コロナウイルスが、インフルエンザと同じように変異を続けて存続すると考える場合、私たちはワクチン戦略をエンデミック(一定周期で繰り返される流行)伝染に対するものに徐々に順応させる方法を見越し、追加接種の影響に関する非常に貴重な知識を集めるべき」と述べた。(c)AFP