【9月10日 AFP】香港で、1989年の天安門(Tiananmen)事件の犠牲者追悼集会を主催した団体の幹部3人が9日、「国家転覆を扇動」した罪で起訴された。香港警察は同日これに先立ち、同団体が天安門事件の犠牲者を追悼するために運営する記念館を捜索していた。

 民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会(Hong Kong Alliance in Support of Patriotic Democratic Movements of China、支連会)」によれば、同団体と李卓人(Lee Cheuk-yan)会長、何俊仁(アルバート・ホー、Albert Ho)副会長、鄒幸●(●は丹にさんづくり、Chow Hang-tung)副会長の3氏が国家転覆扇動の罪で起訴された。李氏と何氏はベテランの民主活動家で、いずれも現在は収監されている。鄒氏は8日に逮捕されていた。

 香港では近年、大規模な民主派デモが続き、しばしば騒乱に発展。中国政府は昨年、反政府運動を抑え込むため、国家安全維持法(国安法)を香港に導入した。支連会は同法の下で行われてきた取り締まりの新たな標的となった。

 支連会が運営し、現在は閉鎖されている「六四記念館(June 4th Museum)」では9日午後、香港警察が新設した国家安全局による捜索が行われ、警察官が書類や展示物を押収する様子が見られた。支連会では鄒氏のほか幹部3人が逮捕されていたが、同日には5人目のメンバーが逮捕されている。

 鄒氏らは当初、「情報提供を求める通告に従わなかった」として逮捕され、裁判で有罪になれば懲役6月が科せられる可能性があった。しかし警察は後に、鄒氏と李氏、何氏に対し、国家転覆扇動容疑を追加。有罪となった場合の最高刑は懲役10年となる。(c)AFP