【9月8日 CNS】中国で「英会話の巨人」と言われている成人向け英語学校「華爾街英語(ウォールストリートイングリッシュ、Wall Street English)」の中国事業が倒産を発表するというニュースがインターネットで流れ、中国で衝撃を与えている。

 ウォールストリートイングリッシュは1972年にイタリアで設立され、世界有数の成人向け英会話学校として知られている。中国には2000年に進出し、11都市に39校がある。中国メディアによると、ウォールストリートイングリッシュ北区の責任者が8月12日、各センターの担当者に「来週、破産を発表する。職員の退職手続きを進めること」と通知した。翌13日には北京市中心部にあるスクールが空っぽになっており、入り口には「長期の家賃未納により、店舗を閉鎖した」という張り紙があった。スクールの責任者は一夜にして蒸発したようで、スタッフは「合計10万元(約170万円)の給料が払われておらず、健康保険や雇用保険なども打ち切られた」と訴えている。

 北京市以外のスクールも同じように突然閉鎖されており、受講者から「授業料は返金されるのか?」と困惑や怒りの声が相次いでいる。SNSでは「90万元(約1534万円)のコースを払った人もいる」という書き込みがある。関係者によると、授業料の返還を求める人は1700人に達し、総額は1億元(約17億円)以上にのぼるという。相談を受けている弁護士は「授業料を返還させるのは難しい」と話している。

 中国で大手英会話学校が破綻するのは、これが初めてではない。2019年には「成人向け英会話学校の三巨頭」の一つとして知られる韋博英語(WEBi English)が「夜逃げ事件」を起こした。最高経営責任者(CEO)の高衛宇(Gao Weiyu)氏は、関係者への声明で「成人向けの英語産業は縮小している」と弁明した。

 大手コンサルティング会社の艾瑞諮詢(iResearch)がまとめた「2020年中国成人英語市場リポート」によると、2019年の英会話市場は953億(約1兆6248億円)に達したが、コロナ禍の影響で2020年には37.6%縮小したとみられる。(c)CNS/JCM/AFPBB News