■間もなく訪れる火星の冬が試練に

 現在は、搭載する高解像度カラーカメラを用いてパーシビアランスの進路を偵察するために出動している。

 目的は二つ。パーシビアランスに安全な経路を示し、さらに、特に地質学的な観点から科学的に興味深い探査先を提示することにある。

 インジェニュイティが火星に到着して6か月以上が経過した。これほど長く活動を続けられている理由は何だろうか。

 火星の気温や風、日光、大気中のちりを含め、「これまでのところ、非常に申し分ない環境だ」とラビッチ氏は説明した。「今でもまだ非常に寒冷だが、これくらいで済んでよかった」

 理論上、インジェニュイティはしばらくの間、活動を続けることが可能なはずだ。だが、間もなく訪れる火星の冬が試練となるだろう。

 NASAの技術者らはインジェニュイティの飛行で得られたデータを基に、次世代の後継機の開発にすでに取り組んでいる。

「おそらく、総重量20キロから30キロ程度までの科学的ペイロード(積載物)を運搬できる」とラビッチ氏は話す。

 将来のペイロードには、パーシビアランスが収集した岩石サンプルも含まれるかもしれない。

 NASAは、2030年代に実施される今後のミッションで、このサンプルを回収する計画を進めている。(c)AFP/Lucie AUBOURG