【9月6日 AFP】(更新)戦後のフランス映画界を代表するスター俳優の一人だったジャン=ポール・ベルモンド(Jean-Paul Belmondo)さんが死去した。88歳。家族が6日、発表した。

 ベルモンドさんは、仏映画運動「ヌーベルバーグ(New Wave)」の担い手として、ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)監督の『勝手にしやがれ(Breathless)』などで最初に名をはせた。映画80作品に出演し、コメディーからスリラーまで多岐にわたるジャンルをこなして、誰もが知る俳優となった。

 ベルモンドさんの家族は代理人弁護士ミシェル・ゴデスト(Michel Godest)氏を通してAFPに出したコメントで、「彼はしばらく前から非常に疲れていた。安らかに息を引き取った」と説明した。

 ベルモンドさんは1933年4月9日、パリ郊外の高級住宅地ヌイイシュルセーヌ(Neuilly-sur-Seine)に生まれ、芸術家の家庭で育った。父親は有名な彫刻家だった。

 学校の成績は悪かったが、ボクシングは得意だったベルモンドさんは、舞台俳優として演技のキャリアを開始。半世紀にわたり出演した映画の数々は、劇場で総計1億3000万枚ものチケットを売り上げた。

 ベルモンドさんは1970年代に出演したスパイコメディー映画『おかしなおかしな大冒険(The Magnificent)』の原題にちなみ、「ル・マニフィック(偉大な人)」とも呼ばれていた。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は訃報を受け、「彼は今後もずっとル・マニフィックであり続ける」とツイッター(Twitter)に投稿。ベルモンドさんを「国宝」と呼び、「私たちは皆、彼の姿に自分を重ねた」と述べた。

 同じくフランスを代表する俳優で、ベルモンドさんの友人でありライバルだったアラン・ドロン(Alain Delon)さんは、訃報に「完全に打ちのめされた」と述べている。(c)AFP