【9月6日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって、1年延期して開催された東京パラリンピックは、5日の閉会式で幕を閉じた。ここでは、アフガニスタン選手の極秘の国外脱出から、英国の自転車選手による新記録、レース後のプロポーズまで、大会の忘れられない五つの瞬間を振り返る。

■アフガン選手のカブール脱出

 アフガニスタンで8月、イスラム主義組織タリバン(Taliban)があっという間に権力を掌握したことで、2人のパラリンピック選手が国内に閉じ込められた。カブールを脱出する手だてはなく、東京パラリンピック出場の夢は絶たれたかにみえた。

 同24日の開会式では、ボランティアスタッフの手でアフガニスタン国旗だけが掲げられた。それでも開幕から4日後、関係者はザキア・クダダディ(Zakia Khudadadi)とホサイン・ラスリ(Hossain Rasouli)の2選手が東京入りしたことを発表した。

 二人はフランス・パリ経由でアフガニスタンから退避したが、詳しいことは秘密になっている。国際パラリンピック委員会(IPC)のスポークスマンを務めるクレイグ・スペンス(Craig Spence)氏は「地球規模の大作戦」だったと表現している。

 ラスリは陸上男子走り幅跳び(上肢障害T47)決勝に、クダダディは今大会から採用されたテコンドーの女子49キロ級(上肢障害K44)に出場した。

■「ベベ」が大会連覇

 車いすフェンシング女子では、競技の顔で、最も有名なパラリンピック選手の一人である「ベベ」ことベアトリチェマリア・ビオ(Beatrice Maria Vio、イタリア)が、見事な戦いでリオデジャネイロパラリンピックに続く金メダルを獲得した。

 11歳のときに髄膜炎にかかり、両前腕と両脚を切断することになったビオは、女子フルーレ個人カテゴリーB決勝で、中国の周景景(Zhou Jingjing)に15-9で勝利した。ビオは19歳で臨んだリオパラリンピックでも、優勝候補だった周を破っており、2大会連続の金メダルとなる。

 電光石火のスピードと、激しい叫び声で知られるビオは、ドキュメンタリー番組「Rising Phoenix」でも取りあげられた9選手の一人で、競技以外にも講演や執筆、俳優業、テレビの司会、障がいの啓発活動に意欲的に取り組んでいる。